2009年6月
【火曜】 鼻や喉の病気と口臭
口臭には、健康状態や年齢性別に関係なく起こる生理的口臭と、何らかの病気があって発生する病的口臭とがあります。
口臭が気になると自覚される多くの場合は生理的口臭です。生理的口臭が生じる原因は比較的急性のものが多く、飲食物・舌についた老廃物・睡眠中に生じた口の中の乾燥状態・喫煙などがあげられます。いずれも歯磨きや口すすぎによって口の中がきれいになれば解決するはずの現象です。
これに対して、病的口臭の原因となる病気は、口の中にあるはずのない細菌が増えて化学反応を起こすために、発生した物質が臭気を出しことによって起こります。そのため、8割は歯科領域のものとされ、それ以外には、糖尿病や胃の病気でも病的な化学物質が口から出てくる場合があります。
もっと医師の手が届きやすく、治療しやすい範囲に原因がある病気としては、副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎などの鼻の病気があります。
副鼻腔炎は、顔面を構成する上顎骨などの中の空洞に細菌が入り込んで起こす炎症で、病的な分泌物が鼻から口の中に流れてきて、口臭を発生することがあります。
アレルギー性鼻炎では、鼻水の分泌が必要以上に起こり、かみきれない鼻水が変質したり、鼻での呼吸が障害されて口呼吸が多くなった場合に、口の粘膜が乾燥したり汚染されたりした時に口臭が発生すると考えられています。口臭があって鼻水や鼻づまりがある方は、一度耳鼻咽喉科に相談されることをお勧めします。
また、鼻の病気だけでなく、慢性的に扁桃腺など口の中の歯以外の組織に感染などの問題があっても口臭が生じるようですので、耳鼻咽喉科では同時にこれらの病気の有無も調べることができます。
ただし耳鼻咽喉科の病気があることがわかって、治療を始めても、喫煙されている限りあまり効果は芳しくありません。タバコを吸われている方には、喫煙が口の中を直接汚染する行為であることをよく理解され、口臭治療を機会に禁煙されればベストであると思います。