2009年8月
【木曜】 急に起こる血便
突然血便が出る病気はいろいろありますが、第1に、一番多い病気としては痔でしょう。
「内痔核」は、痛みもなく突然便器が真赤な血で染まるので、びっくりされます。「切れ痔」では排便時に肛門の痛みを感じ、排便後に出血します。この切れ痔の出血はあまり多くなく、血が便に付いたり紙に付く程度のものです。
第2に、血便が出た時に皆さんが最も心配されるのが癌です。
大腸癌の初期は、ほとんど症状がありませんが、癌が進行してきますと血便の他に、便秘がちになったり、便秘と下痢を繰り返したり、排便後もすっきりせず便が残っている感じがしたり、腹痛を伴うようになってきます。このようになると癌がかなり進行していますので、血便を見たら「痔かな」と素人判断せず、まずはかかりつけ医にご相談ください。
第3に、下痢とともに血便が出る病気です。
まず食中毒があります。この場合は皆さんも良くご存知だと思いますが、腹痛、発熱、嘔気(おうぎ)、嘔吐、下痢、血便がみられます。この中でも最も多いのが、「キャンピロバクター腸炎」と言って、鶏の生焼けや鶏の刺身などを食べた後に起こる食中毒です。症状も強いので早急にかかりつけ医を受診してください。
第4に、その他の原因による出血性の腸の病気が3つあります。
まず、腸の粘膜への血流が何らかの原因で障害される「虚血性腸炎」は、腸の粘膜に潰瘍を作る病気です。激しい腹痛の後に下痢とともに血便が出てきます。次に、難病として厚生労働省で特定疾患に指定されている病気である「潰瘍性大腸炎」は、下痢とともに血便がみられ腹痛を伴うこともあります。近年増加傾向にあり、若い人に発症します。さらに、大腸の粘膜がポケット状に外に突出した憩室と呼ばれるところから突然出血する「大腸憩室からの出血」は、何の症状もないまま多量に出血します。この出血は自然に止まることもありますが、止まらずショック状態になることもありますので、早急に胃腸科専門医を受診してください。
いずれの場合でも血便が出れば、まずかかりつけ医にご相談ください。