2009年8月
【水曜】 糖尿病の早期発見・治療
現在の日本において、経済の発展や食生活の変化により、糖尿病あるいは糖尿病予備軍が著しく増えていますが、その大半が医療機関を受診されていません。
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンの作用不足によって、血液中の血糖値が高くなる病気です。放っておくと全身の血管に障害が起きて、目の中の網膜の病気である「網膜症」を起こして失明したり、「腎臓機能障害」によって透析を余儀なくされたり、動脈硬化が促進されて「心筋梗塞」「狭心症」「脳卒中」などが起こりやすいことが知られています。
これらの合併症の発症は、血液中の血糖値の程度や、血糖の高い状態が続いた期間、つまり年数に比例して起こります。そのため、糖尿病を早期に発見し、早期に治療を開始して血糖値を改善することによって、合併症の発症や進行を予防することが重要です。
糖尿病の自覚症状として、よく言われるのが、のどがよく乾くとか、尿の量が大変多い、全身がだるい、あるいは食欲があるのに痩せてくるなどがあります。このような場合、血糖値は非常に高くなっていますから、すぐ医師の診察をうける必要があります。
最近は、特定健診や職場検診などで、血糖値が高いとか、尿糖が出ている、あるいは1-2カ月間の血糖値の平均をみているヘモグロビンAlcという検査値が高いなどと指摘され、糖尿病の症状が出現する以前に糖尿病の診断を受けることが多くなってきています。この点については、9月火曜日の放送も参考にしてください。
それらの人の大半は、糖尿病の自覚症状がありませんが、症状がないからといってそのまま放置するのは非常に危険です。たとえ症状がなくても、検査などで異常を指摘されたら、まずは本当に糖尿病かどうかの診断を受け、糖尿病と診断がついたら、今後の治療について医師と相談することが必要です。
この他、肥満の人や、高血圧の人、脂質異常症と呼ばれるようになった高脂血症のある人、ご家族に糖尿病の方がおられる人、食生活や生活習慣の乱れている人などは注意が必要です。糖尿病の早期発見のためには、最低でも年に1度は、血糖値の測定を受けることが望まれます。