2009年8月
【火曜】 睡眠時無呼吸症候群の歯科治療
睡眠時無呼吸症候群は、2003年に山陽新幹線の運転手が運転中に居眠りをして走り続けた事件によって、一躍有名になり社会的に大きく取り上げられるようになりました。
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に無呼吸の状態になる病気です。一般的には無呼吸とは10秒以上の呼吸停止と定義され、この無呼吸が1時間に5回以上または7時間の睡眠中に30回以上ある方は睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる異常な眠気は交通事故の頻発、仕事中の居眠りなど社会生活に大きな影響をもたらします。また睡眠中の呼吸停止が引き起こす低酸素状態の影響は、高血圧、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、心不全などの原因になることも明らかになっています。さらに重症な場合は、死亡率が有意に高くなることも証明されています。
睡眠時無呼吸症候群の治療は内科や耳鼻咽喉科だけでなく歯科でも治療することができます。歯科では、マウスピースを製作することで治療しています。
マウスピースでの治療は、最も頻度の高い閉塞性睡眠時無呼吸症候群の方が対象となります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、のどちんこあたりの気道、すなわち空気の通り道が閉さがることによって起こりますので、睡眠中に歯科用の特別なマウスピースを装着することによって、下顎(したあご)を前方に引き出し気道を確保して治療します。肥満度の高い方や顎の変形など、体格や骨格に問題のある方には効果の出ない場合もありますが、多くの場合、無呼吸やいびきが軽減します。
内科や耳鼻咽喉科などで睡眠時無呼吸症候群と診断され、シーパップと呼ばれる特殊な呼吸装置を使っても治療が困難な方は、一度担当の先生にご相談ください。診断されて紹介状がありましたら、専門の歯科医院で、保険適応で特別なマウスピースを製作することができます。