2009年10月
【火曜】 「保険でより良い歯科医療を」の運動
私たち兵庫県保険医協会は「保険でより良い歯科医療」をめざして取り組んでいます。 ご存じのように、日本の医療保険制度は世界でも最も進んだ制度の一つです。公的な国民皆保険制度のおかげで、誰もが平等に、安心して医療を受けられます。それと同時に社会全体の安全も守られます。
例えば、新型インフルエンザが上陸したとき、保険証の交付が受けられていない人たちに、短期保険証の交付を求める市民運動の広がりで国の方針となりました。誰もが速やかに医療を受けられるのでなければ、世界的な感染から地域を守れません。
公的保険を持たないアメリカ合衆国では、歯科医療の負担金が高く、低所得者には安定した受診が困難なため、結果的に総入れ歯になる人の数が多いことが知られています。
隣の韓国では、歯科医療の大部分が保険では賄われません。そこで、65歳以上の患者さんの入れ歯が保険で作れるよう運動している歯科医師のグループもあります。
80歳で20本の歯があれば、ほとんど入れ歯なしに何でも噛めます。日本歯科医師会が提唱する「8020(ハチマルニマル)運動」はそれを目指す全国的な運動のひとつです。残っている歯が多いほど、かかる医療費が少なく、入院日数も少ないという調査結果もあり、歯の数が多いほど健康でアクティブな老後が過ごせると言うことが知られるようになりました。現在の到達は「8012(ハチマルイチニ)」つまり80歳で12本と、少しずつですが着実に伸びて、お口の健康が全身の健康維持につながっているのです。
しかし最近では、医療費抑制を目的に、被せものや入れ歯を入れる診療のかなりの部分を、公的医療保険から外す意見が出されています。歯科の保険点数が約30年間低く据え置かれ、新技術が保険導入されても適正な評価がされていないため、保険診療と自由診療との格差が広がっています。
兵庫県保険医協会は、歯科医療関係者と患者・住民の皆さんとの共同のネットワークとして「保険でより良い歯科医療を 兵庫連絡会」を立ち上げます。イイハデーの11月8日に、どなたでもご参加いただける講演会とシンポジウムを開催します。ご参加いただける方は、電話078-393-1809、078-393-1809にお問合わせください。
安心・安全な歯科医療実現をご一緒に国に求めていきましょう。