2009年11月
【水曜】 ワキガの治療について
ワキガは、わき腋の下から出る汗が原因になって、特別強い臭いがしている状態です。そのため、別名を「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれます。
暑い時期などに普通に汗を出すのは「エクリン腺」という管で、全身に分布していますが、腋の下などには、エクリン腺より更に直径の大きい「アポクリン腺」というくだ管があり、ここから出る汗が、皮膚の表面に存在する細菌によって分解されて、独特な臭いが発生します。これがワキガの原因です。
自分の臭いが気になるけれども、ワキガかどうかわからずにお悩みの方もいらっしゃると思います。これから述べる5つのなかに心当たりのある方は、ワキガの可能性があります。
第1は、緊張したり興奮したりすると汗が良く出る。第2は、他人から臭いを指摘されたことがある。第3は、洋服の腋の下が黄ばみやすい。第4は、家族や親戚にワキガの人がいる。第5は、耳垢が湿っている、です。もしこれらに当てはまり、さらに治療を希望される方は、一度皮膚科や形成外科で診察を受けることをおすすめします。
しかし、自分で腋の下の臭いが強いと思っていても、実際には他の人には全く臭わないということもよくあります。この場合は治療の必要はありません。そういう場合も含めて、きちんと診断してもらって下さい。 ワキガの症状が軽い場合は、薬局で手に入るいわゆる「せい制かん汗剤」で充分効きますが、それでも臭いが強い場合は、医師から処方してもらう飲み薬や付け薬が必要になります。
ワキガの一番確実な治療は、腋の下の皮膚を切って「アポクリン腺」を目で見ながらハサミで切り取っていく方法です。手術の後は数日間の安静が必要で、またケロイドなどの後遺症の可能性もありますが、ワキガ特有の臭いはほとんどなくすことができます。この手術は医療保険の適用があります。
一方、注射やレーザー治療によっても臭いを改善することができます。治療の後に安静にする必要もなく、手術の傷痕もほとんど残りませんが、これらの治療には保険が効かず、自費診療になります。