2010年1月
【火曜】 要介護認定方法の基準変更とは
介護保険制度は、2009年4月から、要介護認定方法の変更が行われました。
介護保険の認定は、まず、要介護認定を受けられる方や家族が、自治体の介護保険担当窓口で申請を行います。そして認定調査や主治医意見書によって心身の状態を調べます。その後、どのくらい介護の労力が必要かについて、コンピュータによる一次判定と、審査会での話し合いによる二次判定を行ってから、認定結果が通知されます。
今回の「要介護認定方法の基準変更」は、厚生労働省の内部文書で介護保険に必要な費用を削ることが目的だったことが明らかになりました。その中身は、コンピュータ判定や審査会で重度に変更される割合を減らすことや、介護度認定を低くすることというもので、国会でも問題とされました。
介護認定を実態とは異った「軽度」になるように認定方法の基準を変更することは、介護保険に必要な費用の抑制につながります。利用者、サービス提供者、自治体関係者から糾弾されていたにもかかわらず実施を強行して、大きな負担と混乱を与えた厚生労働省の責任は重大です。
そのため、認定方法の変更に対する批判の声と改善を求める世論によって、例えば、訪問調査の時に「座った姿勢を10分程度保つ」ということができる場合には、「座わり続けることができる」と判断されるなど、10余りの調査項目について、介護の労力が必要になるかという定義が8月に見直しされました。
しかし、これで問題が解決するわけではありません。
保険医協会は、これ以上、要介護認定の仕組みを後退しないよう運動をすすめるとともに、政府に対して次の点を要望しています。
第1に、これから新たに介護認定を申請する方が、軽度に判定されないように運用を図ること。
第2に、実態に沿わない机上の計算だけで、認定者の割合を減らすように、無理な指導や誘導を地方自治体に行わないこと。
第3に、医師・歯科医師をはじめとする介護認定審査員の関与を減らすような改悪を行わないこと。
第4に、行政の認定調査の在り方や、一次判定やニ次判定のすすめ方など、認定システム全体に対する総合的な検証と見直しを行うこと。
先の総選挙で政権交代がありました。私たち開業医師・歯科医師は、介護認定の方式だけでなく、保険料負担や利用料負担、受けられるサービスの内容など、介護保険制度の全般について改善されるよう、みなさんとともにがんばりたいと思います。