2010年3月
【木曜】 最近増えてきた肺がん
近年のがん医療の進歩は目ざましいものがありますが、がんの患者数、がんによる死亡者数は増え続けています。
日本の3大死因は、各種のがん、心筋梗塞などの心臓疾患、脳卒中などの脳血管疾患で、全体の2/3を占めています。その中で、がんによる死亡が最も多く、がんの中でも肺がんが第1位です。毎年、全国で7万人以上の方が肺がんを患い、その85%以上の方が亡くなっています。つまり最も治りにくいのが肺がんです。
肺がんの治療には、患部を取り除く手術療法、抗がん剤を用いる化学療法、放射線による療法が従来から行われています。最近では「分子標的治療薬」や「重粒子線療法」などの新しい治療法が開発され、肺がんの治る確率が上がり、より長生きできるようになってきています。
しかし最も重要なことは、すべてのがんに共通していることですが、早期発見とがん予防です。
まず早期発見については、咳、血痰、胸の痛みがあれば、直ちに医療機関を受診することが重要です。しかし肺がんは特徴的な初期症状がないため、早期発見には定期検診が最善の方法です。2008年に制定された健康増進法にもとづいて、各自治体が検診を行っていますが、現在のところ受診率は極めて低い現状です。最も肺がん検診を受けやすい方法は、近隣の開業医で検診を受けることです。診療時間内であればいつでも、胸部レントゲン撮影と喀痰検査が受けられます。結果報告と今後の対策はもちろん、その後もホームドクターとしてご自身の健康管理も行ってもらえるようになります。
もうひとつのがん予防については、生まれつきの体質を変えることは困難ですが、肺がんになりやすい原因にはタバコが挙げられます。特に40歳以上の男性の喫煙者は、高い確率で肺がんになりやすいといわれています。しかし女性の肺がんでは喫煙していない人が70%を占めていますから、なおさら定期検診がより重要となってきます。
日本で最も死亡者数の多い肺がんにならないように、禁煙などの努力を行うとともに、もし肺がんになった場合でも、早期に発見するために、定期的な肺がん検診を近隣の開業医を通して行う方法をぜひ活用されることをおすすめします。