2010年4月
【水曜】 女性に多い膠原病
全身のいろいろな臓器を同時に障害する病気には「膠原病」と呼ばれるものがあります。膠原病とは、皮膚の弾力性を保ち、血管を保護する働きの「膠原線維」というものが弱くなり、崩れてしまっていることを指摘したのです。
全身性エリテマトーデスという病気があります。わが国全体で推定5万人の患者さんがいると言われています。顔に特徴的な皮疹が出現すると共に腎臓が侵され、今から30年くらい前までは、適切な治療が行われない場合はほぼ100%死亡してしまうという恐ろしい病気でした。現在はこの病気の診断法と治療法が確立していますので、発症後すぐに医療機関を受診すれば、不安やストレスが取り除かれ、元気で明るい生活を続けることができます。
この病気は腎臓以外にも、脳,目、肺、心臓などの、全身の臓器が障害される可能性があり、個々のケースでは今も手ごわい難病です。この病気は男性より女性の方が10倍多くかかると言われており、圧倒的に女性、それも15歳から30歳の女性によく起こります。
関節リウマチも5倍の比率で女性に多い病気です。関節リウマチの患者数は70万から100万人と推定されています。この病気は、関節と骨が侵されることが知られていますが、骨以外にも心臓や肺などの臓器にも障害が起こり、長い経過中にはそれらの障害のため死亡することもあります。
他の膠原病では、男性と比べて、シェグレン症候群は女性が10倍、全身性硬化症(強皮症)は7倍、多発性筋炎および皮膚筋炎は2倍です。このように、ほとんどの膠原病は女性に偏って発症しています。その理由としては女性ホルモンの影響という説が有力です。
顔や体の皮膚に変わった症状が出たとか、朝起きたときに手の指がこわばる、指がソーセージのように腫れた、手の甲の皮膚が硬くなってきた、爪のつけ根の皮膚に出血がある、日光をまぶしく感じる、唾液が出にくい、関節が痛む、足の裏が痛い、などの場合には、膠原病の初期症状の可能性があります。
まずはかかりつけの医師に受診してください。そしてリウマチ科の専門医で精密検査を受けるようにしましょう。