2010年4月
【火曜】 歯周病と全身の健康との深い関係
最近は「歯がたくさん残っていると体の病気になりにくい」という、いろいろな調査結果が出ています。
歯を失う原因の大部分は、むし歯と歯周病です。とりわけ30歳代以降の人が歯を失う原因の第1位は歯周病です。つまり歯周病を予防すれば歯を失う可能性が少なくなり、その上、体の病気にもなりにくくなることがわかりました。
厚生労働省も2008年4月より「これからは病気の予防だ」ということで「メタボ健診」が始まって、まず、全身のチェックを受けてから歯科を受診するようになりました。命を縮めるメタボリック症候群と口の中の健康は密接な関係があります。メタボリック症候群は、肥満があって、高血圧、高血糖、高脂血症、低HDLコレステロール血症のうち、3つ以上あてはまれば該当すると言われています。その中でも特に、糖尿病が口の中の健康ととても関係しています。
糖尿病は血管が障害を受ける病気ですので、進行すると体の色々な所が悪くなります。糖尿病の5大合併症ということで、目が悪くなったり、腎臓が悪くなったり、足のしびれなどの神経の症状が出たり、血のめぐりが悪くなって指先の壊疽を起こしたり、動脈硬化が進んだりします。特に15年ほど前から、歯周病が糖尿病の合併症としてとくに注目されるようになりました。
糖尿病が進むと、歯周病がたいへん進みやすくなります。糖尿病が進んだ人は歯が悪い人が多いです。ところが歯周病の治療をすることで逆に糖尿病が良くなっていくことも最近の研究でわかってきました。血糖のコントロールを悪くする体内の化学物質(TNF-α)の量が、歯周病の治療をすることで減ってくることがわかったのです。
糖尿病といえば歯周病、そして歯周病を治療することで血糖のコントロールがしやすくなります。口の中の健康が体の健康にも結びつきます。定期的に歯医者さんに行って健診を受けられることをおすすめします。