2010年5月
【金土日】うつ病の家族を支えるために
家族の方が病気になることは、身体的にも心理的にも負担が増えます。これからうつ病の家族を支えるために理解していただきたいことをお話します。
うつ病は、眠れなくなります。起きる、寝ることのリズムの障害です。午前中は調子が悪く夕方になると元気になることもよくみられます。
体の症状として食欲低下、または食べ過ぎる症状もよく見られます。やせてきた、太ってきたことで気づくことが多いと思います。
うつ病の症状で重要なことは、楽しみを感じられないということです。何をしていても悲観的に考えてしまい、生きることが非常に辛くなる症状があることです。死にたいと直接表現していなくても、自分なんかいないほうがいいと否定的な感情に支配されることです。
うつ病には、ゆっくりとした休養や薬の他に、認知療法という治療法が有効です。認知療法とは、悲観的に考える行動パターンを変化させる治療法です。飲み薬を勝手に中断しないことも重要です。
家族の対応により再発が多くなるということが知られています。これは感情を表に出すという「感情表出」と呼ばれる3つのポイントがあり、「批判的」「敵意」「巻き込まれ過ぎ」とされています。
1点目の批判的であるというのは、例えば「何もしないでゴロゴロしていてしようがない」とか、「いい年をして仕事もしない」などです。2点目の敵意というのは、例えば「あんな子なんかいない方がいい」「殴ってやりたい」という態度や言葉です。3点目の情緒的に巻き込まれ過ぎないというのは、例えば、ちょっとしたことで家族が泣き崩れたり、冷静さを失ってしまう態度のことです。
余裕がなくなり批判的、敵意、巻き込まれ過ぎるので、意識してそれらをやらないことが重要です。
うつ病は、自殺という問題も避けてはとおれません。状態が悪い時は自殺する気力もない状態ですが、少しよくなったときに自殺される方が多いので、この場合は医療機関での対応が必要です。家族もつらいことが多いと思います。じっと待つことも重要です。どうしてよいかわからないときは、保健所、保健センターなどの行政組織や医療機関と相談する方法があります。個人で患者さんを支えることも重要ですが、地域、社会で支えることも重要です。