2010年5月
【木曜】 出血性胃潰瘍の薬物療法
胃潰瘍は別名、消化性潰瘍と呼ばれるように、本来食べ物を消化する胃液が、食べ物だけではなく胃の粘膜を消化して胃潰瘍になり、場合によっては血管に傷をつけることによって出血することがあります。
出血すると、血を吐いたり、黒い便が出たりすることがあります。診断は胃カメラで行ないます。
小さくて浅い潰瘍や数の少ない潰瘍でも、あるいは肝硬変や血液疾患などの合併症で血が止まりにくい人でなければ、胃酸を抑える薬や胃の粘膜を保護する薬で、出血は止まる場合が大半です。
20数年前までは、胃潰瘍からの出血がとまらない場合には、緊急手術で胃を部分的に切除する必要がありましたが、胃酸を抑える薬はここ10数年間の進歩によって、相次いで新しい薬が開発されて、出血性胃潰瘍で手術に至るまでの方は激減しています。これらの薬を飲み薬ではなく、点滴することもあります。
出血がとまらない場合は、内視鏡で出血している血管の周囲に、濃度の濃い食塩水や薬剤を注射することによって止血させます。それでも止まらないときは、手術が必要になる場合があります。
出血性胃潰瘍に限らず、胃潰瘍の原因と考えられているピロリ菌を取り除く治療法、つまり除菌療法があります。胃潰瘍からの出血を経験した人は、必ずピロリ菌の検査を受けることをおすすめします。ピロリ菌が陽性でしたら除菌治療を受けてください。除菌が成功すれば薬を飲まなくても再発しなくなります。
ただし除菌治療に成功しても、暴飲暴食や痛み止めの服用などで胃粘膜から再度の出血をきたすこともありますので、注意するとともに、かかりつけ医に相談しましょう。