2010年6月
【火曜】 顎関節症の話
最近、顎関節症という言葉をよく耳にしませんか。
耳の穴の少し前に指を当てて、口を開けたり閉じたりしてみて下さい。顎関節は、この動いて指に触れる部分にあるアゴの関節です。ちょうど上アゴと下アゴのつなぎ目部分に当たります。
食事をする、話をするなどといったアゴの動きはとても複雑です。その動きは歯の噛み合わせ、アゴの関節、筋肉および神経、この4つの密接な関係のもとに行われています。これらのうちどれかひとつでもバランスが崩れると、うまく動かなくなって異常が出てきます。つまり、アゴの関節症を引き起こしてしまうのです。
顎関節症といっても症状の出方は人それぞれで、原因も一つとは限りません。主な症状としては、アゴの関節や筋肉に痛みがある、口があまり開かない、口を開けると「ガクッ」とか「ポキッ」という音がすることが多いようです。このほかにも頭痛がする、首が痛い、肩がこる、耳鳴りがするといった症状を訴える方もおられます。ひどい場合には、顔全体や体全体に痛みが広がることさえあります。
以前は、噛み合わせが悪いとそれが原因で起こる病気であると言われていました。噛み合わせは顎関節症を引き起こすひとつの原因ではあるのですが、このことは単独では起こらず、いろんな条件が重なったり、バランスが崩れたりしたときに起こります。
顎関節症を引き起こす可能性のある条件は色々あります。一人ひとりの顎の関節の状態や、ストレスなどの精神的な状況、歯ぎしりや歯を食いしばる癖、日常生活の慣習や姿勢、アゴの捻挫やケガ、歯が痛かったり、入れ歯も入れないで片側だけで噛んでいるとか、噛み合わせや歯並びなども関係しています。
これらの症状に心当たりのある方は、まずはかかりつけの歯科を受診してください。さらに口腔外科や顎関節症外来を行っている医療機関もありますので、専門医を紹介してもらってください。