2010年8月
【火曜】 失明につながる目の病気
最近は身体障害者に関する報道に接する機会が多くあります。障害は体の多くの部位で起こりますが、目も原因となることがあります。これを視覚障害と言っています。
視覚障害の定義は、世界保健機構(WHO)では、裸眼だけでなく、メガネやコンタクトレンズ等で矯正したものを含めて、良い方の目の視力が0.1以下を失明としています。
日本では18万8千人が失明者と推定されています。年齢とともに視覚障害者は増加します。視覚障害者数全体の72%は60歳以上の方が占めています。
現在の情報社会では、情報の8割が視覚から得られると言われており、このため視覚が障害されると私たちのQOLは大きく損なわれてしまいます。
視覚障害が生じる病気は、緑内障が24.3%、糖尿病性網膜症20.6%、変性近視12.2%、加齢黄斑変性症10.9%、白内障7.2%であり、この 5つの疾患で全体の3/4を占めています。この他では未熟児網膜症、網膜色素変性症、網膜剥離等が視覚障害の原因となっています。
このうち、日本における老人の3大失明原因である緑内障、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症について、簡単に説明します。
緑内障は、眼圧が高くなることによって視神経が圧迫され障害を受けて、その結果、目の機能が障害を受け、特に視野の欠損が生じます。これは回復しません。日本人では眼圧が正常でも、正常眼圧緑内障が見られますので、眼圧、視神経、視野の検査を受けるようにしてください。
糖尿病性網膜症は、糖尿病によって高血糖の状態が長期間持続すると、網膜の血管が障害を受けて眼底出血を起こし、進行すると最悪の場合は失明となります。そうなる前に血糖のコントロールをしたり、眼科で検査を受けましょう。
加齢黄斑変性症は、眼底の中心である黄斑というところに異常な老化現象が起こり、視野の中心部分が見えなくなります。人口の高齢化や生活習慣の欧米化によって急に増加している疾病です。
近年は検査も治療も進歩していますので、早期発見して、高いQOLを保ってください。