兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2010年9月

【火曜】 顎の異常と全身との関わり 後編

 今回も2つのことをごいっしょに考えてみましょう。


 第1に、下唇を上の前歯で咬む癖は出っ歯になりやすいこと、寝るときの姿勢が常にうつぶせだったり横向きだったりすると、日々顎や歯並びが歪んでくることをご存じでしょうか?


 歯並びを良くする矯正治療では、50g~100gぐらいのごく弱い力で歯を動かしています。土の中の杭のように、歯は顎の骨の中に単に埋まっているわけではなく、かなり自由に動けるのです。矯正治療では持続的な弱い力で歯が動くことを応用して、ワイヤーやゴムで持続的な力を加えて、計画した場所に歯を移動させているのです。


 ところで、みなさんは人の頭の重さは何㎏あるかご存知ですか?なんと体重50㎏の人でおよそ6.5㎏もあります。そのため、頬杖をついたり、うつぶせ寝する間は、顔に一定の方向から長時間の圧をかけていることになるのです。わずか50gの力で動く歯にその何十倍の力をかけるということです。そのため歯の位置がずれたり、歯並びが悪くなり、ひいては顔全体の歪みを生じることとなるようです。


 第2に、1日24時間のうち、食事や会話など、日常生活で上下の歯が接触している時間は、トータルでわずか15分程度であると言われています。


安静にしているときには、上下の歯と歯の間には隙間があって、食物を噛むとき、唾液を飲みこむとき、一部の発語のときだけ、歯と歯を咬み合わせるのが正常なのです。ところが、つねに歯と歯を咬み合わせている人がいます。本人には歯を食いしばっているという自覚は全くないのですが、これはれっきとした癖です。このような癖のある人には、あごの筋肉や頭頸部の筋肉が疲労して、頭痛、首や肩の痛みを生じることが多いようです。
 

 また、全く健康な歯が突然欠けたり、歯のかぶせ物が頻繁にはずれたり、ブラッシングを毎回きっちりしているのに虫歯になりやすい人は、1日中上下の歯が接触し続けていることが原因である場合があります。


 口を閉じていること、イコール上下の歯が咬み合っているのではなく、上下の歯の間には1㎜程度の空間があるのが正常です。口はしっかり閉じていても上下の歯は接触していないのが正常なのです。
 これらのことも、ぜひ皆さんに知っておいてほしいことです。 

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