2010年9月
【月曜】 顎の異常と全身との関わり 前編
顎や歯が健康であれば、食事もおいしく頂けて、全身の健康につながることは、みなさんもよくわかることと思います。人前で大きく口を開き、純白の白い歯が見える健康的な笑顔はとても素敵ですよね。そのために、咬み合わせは全身のバランスの一つでもあります。
そこで歯並びの異常について、2つのことをごいっしょに考えてみましょう。
第1には、乳歯のときに歯並びの悪い子どもは、特別な遺伝病をお持ちの方以外にはいないのに、大人の歯に生え換わってくる幼児期や小学生になると、どんどん歯並びの悪い人が増えるのはなぜかを考えてみましょう。
ここ数十年で我が国の成人の平均身長はたいへん伸びましたが、運動量は減り、筋力が落ち、軟らかいものを食べる傾向が進んでいます。しかし、歯の大きさは遺伝的に決まっていますが、その歯を受け入れる土台になる顎の骨は、食物を食べる刺激が少ないために、小さくなってきています。これに対して、昔のままの大きさの歯と、小さくなった顎の骨とのアンバランスで、歯並びの異常が増えていると考えられています。
第2には、両親の歯並びはとても良いのに、その子どもの歯並びが最近悪くなっていることが多くみられるようになってきました。それはなぜかを考えてみましょう。
歯並びの問題は、見かけもさることながら、軟らかいものを食べる傾向によって、顎の骨の発育が不十分なうえ、全身の筋力の低下とともに、頬杖、うつぶせ寝等の良くない生活習慣も重なり、顎の骨やその周囲の筋肉などの口の中全体に歪みを生じていることが多くあります。こうしたことから、歯並びが悪いことはもちろん、虫歯になりやすかったり、歯周病が進行したり、顎の関節に痛みを生じたり、口を大きく開けにくくなったりします。さらに、顔の形に歪みを生じたり、肩こりがひどくなること等様々な症状が起こりやすいと考えられます。
これらのことは、ぜひ皆さんに知っておいてほしいことです。