2010年10月
【金土日】パ二ック障害
パ二ック障害は、かつては心臓神経症、不安神経症、自律神経失調症などと診断されていました。
症状は、動悸、発汗、手足のしびれ感や冷たい感覚、口の渇きなどの自律神経性の症状と、他に、息苦しさや胸の圧迫感、下痢、腹痛、吐き気など胸部や腹部に関する症状、めまい、ふらつき、死ぬのではないかという恐怖感、現実感を失うような感覚などの精神状態に関する症状などがあります。これらのうち、4つ以上の症状を同時に伴います。特徴は次の通りです。
まずは、危険にさらされるなどの特別の誘因や、緊迫感などの予知が全くない日常的な状況で、突然起こる発作です。数分のうちに症状は頂点に達し、数分間持続します。ほとんどは30分以内に治まりますが、繰り返されるので激しい恐怖や不安を伴います。
身体的検査での異常は何ら発見されません。そのため、ますます不安を高めて症状が反復します。すると、「また、いつ、あの発作が起こるのでは?」との恐怖感がさらに高まっていきます。これを「予期不安」と言います。
発作の状況や場所を避けようとして、「外出恐怖」「広場恐怖」「乗り物恐怖」などを伴うこともあります。
こうして日常生活に制限が加わり、症状が長引くとうつ病などへと重症化することも稀ではありません。
パニック障害には、抗うつ薬をはじめとして抗不安薬や睡眠薬など精神科関連薬剤を使用します。といっても、薬だけで回復に至るのはごく初期の症状に限られます。特に注意していただきたいことは、初期症状が回復したからといって、短期間で治療を中断しないことが大切です。再発する方がすくなくありません。
最近では、精神的疾患への偏見は相当少なくなっていますが、それでも「気のせい」とか「気持ちのもちよう」などといった、家族や周囲の方からの言葉で、治療を短期間で中断される方が後を絶ちません。ご注意をお願いしたいと思います。
背景には、睡眠などの生活習慣を含めた、日常生活や職場環境などの在り方が関与していることが多いので、これらを、ご本人の性格傾向との関連で見直すことが治療効果を安定させます。そのために、カウンセリングや精神療法、認知行動療法などがあります。
精神科、心療内科の専門医に相談されることをおすすめします。