兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2010年11月

【木曜】 高齢者の皮膚のかゆみ

 高齢者の方が皮膚のかゆみを訴えられるのはきわめてありふれた現象ですが、その原因として最も多いのはドライスキン、すなわち皮膚の乾燥に由来する場合です。特に秋から冬になると、気温の低下に伴って空気が乾燥してきますので、高齢者の多くの方がドライスキンを呈してこられます。

ドライスキンとは、老化によって皮膚の一番上にある角質層の水分含有量が低下して生じた潤いのない肌を言います。気温および湿度が上昇し、汗をかきやすくなる梅雨頃から夏には、通常ドライスキンはかなり軽快してきます。

 ドライスキンの対策としては、特に乾燥が強まる冬には、保湿剤として使われるヘパリンに似た化学物質を含んだ軟膏・ワセリン・尿素軟膏・セラミドという保湿剤を配合した軟膏などの、乾燥を防ぐ塗り薬を定期的に使うことが重要です。また、激しく掻きむしると湿疹様変化をきたしてしまいますので、かゆみが強い場合には、これらに加えて、かゆみを止める飲み薬が望まれます。さらに、入浴の際に石鹸で擦りすぎると皮脂膜を破壊する原因となりますので、必要以上に洗わないように気をつけて、お湯の温度も低めに設定する方が良いでしょう。

 高齢者の皮膚のかゆみの2番目の原因として、内臓の異常によるかゆみが考えられます。肝炎や肝硬変・腎不全・糖尿病・甲状腺機能異常・貧血・内臓悪性腫瘍などの様々な病気の際に皮膚のかゆみを伴う場合があります。従って、季節に無関係にかゆみが生じ、保湿剤を外用したりかゆみ止めの薬を飲んでも症状が軽快しない場合には、内臓の異常によるかゆみの可能性を疑って、全身の精査を行う必要があります。

 その他、血液の流れをよくする薬や血圧を下げる薬などといった飲み薬によるかゆみや、ストレスなどの精神的な反応に伴ってかゆみが生じる場合もあり、高齢者の皮膚のかゆみの原因として様々な要因が考えられます。このようにかゆみが持続する場合には、原因の解明も含めて医療機関を受診されることをおすすめします。

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