2010年11月
【月曜】 子どものインフルエンザ
インフルエンザは、A型およびB型インフルエンザウイルスによって引き起こされ、日本では毎年、主に冬に流行します。近年、季節的に流行していたA型インフルエンザウイルスは、A香港型とAソ連型でしたが、2009年には新型のA型インフルエンザウイルスが出現し、世界的に流行しました。
季節性インフルエンザと今回の新型インフルエンザとでは、症状にあまり違いはなく、約1~3日間の潜伏期間の後に突然、高熱、咳、鼻水などが現れます。頭痛や関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などが強いことも特徴です。子どもは大人に比べ、熱が高く長く続く傾向があり、一度解熱した後に再び発熱することも少なくありません。また嘔吐、下痢、腹痛などもよく見られます。通常1週間前後で良くなりますが、子どもでは脳炎や脳症、あるいは肺炎などを起こして重症化することがあり、特に新型インフルエンザでは重症の肺炎が多いと言われています。けいれんや異常な言動が見られたり、ゼーゼーして呼吸が苦しそうな時などは、直ちに病院を受診しましょう。
診断は、迅速診断キットという器具を使ってその場で行われます。陽性率は新型も含めて60~70%で、特に初期には陰性に出ることも多く、症状や流行の状況などから総合的に判断されます。
治療は、症状を和らげる治療が中心になりますが、発熱や頭痛などに対しては、インフルエンザ脳症を引き起こす可能性があるため、子どもでは市販の解熱剤は使わない方が良いとされています。また、飲み薬のタミフルと吸入薬のリレンザの2種の抗ウイルス薬が有効ですが、脳症を予防することはできないとされており、必ずしも全員に必要なものではありません。なお、結論は出ていませんが、異常行動との関連で10代の患者さんにはタミフルの使用は控えることとされています。
インフルエンザは基本的に自然に治る病気です。手洗いやうがいなど予防に努め、かかってしまったら安静を第一とし、水分をこまめにとらせるなどを心がけましょう。また、なるべく早めのワクチン接種もおすすめします。