2010年12月
【月曜】 タバコをやめたい人のために
これまで楽しんで吸っていたタバコを止めるということに対面するとき、スモーカーの頭の中には途方もなく高くて険しい絶壁を登るようなイメージが浮かぶようです。テレビCMのように勇気を振り絞って、禁煙治療のために病院のドアまでたどり着いた方は、禁煙への頂上を目指す道の五合目以上まですでに登ったと言えるでしょう。
そしてその後の道のりは禁煙補助薬の助けを借りることになります。皮膚に貼るニコチンパッチと飲み薬の2種類があり、それぞれの特徴に応じてその方に適した処方を選びます。実際にたくさんの患者さんに試してもらって、これらの禁煙補助薬はほんとうに効果的だと実感しています。患者さんご本人もあまりにも簡単にスムーズに禁煙を続けている自分に驚かれます。
ただし、タバコを吸いたいという気持ちまでは薬で解決できないので、その衝動のセルフコントロール法などを12週間かけて医療機関でサポートしていく仕組みになっています。これまでに自己流の禁煙経験ありという方も多い中、保険診療で行う持続的な禁煙の成功率が高いのはこの精神的依存を支える仕組みです。
また、さらに成功率を高めるコツは、自分が禁煙する目的がはっきり明瞭であるかということです。5回の診察ではいわゆるモチベーションを高めてその確認を繰り返すことを行います。また12週間の間には気のゆるみからうっかり吸ってしまうこともあるため、事前に注意を促し、励まして禁煙を続行していただきます。
無事に禁煙に成功して、誇らしげににっこりされる血色のいい患者さんのお顔をみることが何よりも楽しみです。禁煙と体重コントロールは生活習慣病の2大目標です。この二つを乗り越えることで、たくさんの病気が予防でき、健康な人生設計の大きな骨組みになります。