2011年1月
【木曜】 前立腺がん
前立腺は、膀胱の出口にある男性特有の臓器で、通常はクルミくらいの大きさです。この前立腺に発生するがんが日本でも明らかに増えてきています。その理由としては食生活の欧米化と検診の普及、高齢化などがあげられています。
このがんは前立腺の外側にできやすいため、排尿障害や血尿と言った症状は比較的出にくく、検診で見つかることが多くなって来ています。直腸からの簡単な検査や、血液検査である腫瘍マーカーPSA(ピーエスエー)の数値で診断します。また前立腺がんは、進行すると骨に転移することが多く、腰の痛みや神経症状で見つかることも稀ではありません。このように前立腺がんが疑われたら、前立腺の一部を切り取って行なう細胞検査を受けてください。
以前は進行した状態のがんが多かったのですが、最近では診断技術の進歩などにより、限られた場所の比較的早期のがんが発見され、前立腺を摘出する手術が増えています。手術以外にも、様々な放射線療法もかなり広く行われ、その他の新しい治療法も少しずつ開発され、効果が上がっています。
高齢者や進行したがんの患者さんでは、男性ホルモンを抑える内分泌(ないぶんぴ)療法という注射や飲み薬を用いた、比較的身体への負担が少ない方法が基本となっています。
他のがんと違って、前立腺がんは発育、進行が穏やかなことも多く、全身の骨などに転移している場合でも内分泌療法に非常によく反応することもあります。
50歳以上の中高年の男性で尿が出にくいなどの排尿障害がある方は、前立腺疾患が疑われます。一度お近くの泌尿器科を受診され、がんのチェックを受けることをおすすめいたします。