兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2011年3月

【木曜】 肛門とくに痔の日帰り手術

 外来で手術治療を受け、入院することなくその日に自宅に帰ることができる手術のことを、日帰り手術といいます。入院ベットのある医療機関だけでなく、入院ベッドをもたない医療機関においても積極的に行なわれるようになってきました。入院日数の短縮で治療費が少なく済みますが、全ての肛門の病気が日帰り手術をできるわけではありません。

 肛門の病気の代表と言えば、痔、切痔、痔瘻、裂肛があります。

 一番多い痔には、肛門の中にできる「内痔核」と、肛門の皮膚にできる「外痔核」があります。あまり大きな痔、肛門全体がひどく飛び出しているような痔は、日帰り手術は危険だと考えます。無理をして手術をする施設もあるようですが、術後の痛みに対する管理、自宅で出血が起こった場合の処置に問題があります。また、とかく日帰り手術というと、簡単に肛門の病気が治せる、短い日数で治ると誤解する方がいます。これは大きな間違いです。手術した傷の治りは昔とさほど変わりません。

 ただし、内痔核の治療には近年、「アルタ(商品名ジオン)」という注射薬が開発され、この出現により痔の治療は大きく変わりました。従来の痔の治療を大きく変えた画期的な治療で、保険診療が認められています。内痔核に注射することによって、飛び出す痔を切らずに治せます。治療時間は約10分、終わればすぐに歩けますから翌日から仕事はできます。当初は原則2泊3日の入院でしたが、現在は日帰り手術が可能です。

 次に痔瘻は、肛門の周囲の皮膚に穴が開き、いつもベタベタと汁が出て止まらないものです。治療法はこの穴にゴム紐を通し、ゆっくりと縛っていき、最終的にはカットしてしまう方法を使います。これをシートン法といいます。まず日帰り手術でゴムを痔瘻に通し、外来通院で数カ月かけてゴム紐を少しずつ締めていきます。

 裂肛で、排便時に激痛を伴い、肛門の筋肉が硬くなっている揚合は、日帰り手術は困難です。

 以上、日帰り手術はその適応や、術後の自宅での管理、緊急時の対応を十分に相談し、よく理解したうえで治療を受けてください。

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