2011年3月
【火曜】 くり返しやすい口唇ヘルペス
口唇ヘルペスは、2種類のヘルペスウイルスのうち、単純性疱疹ウイルスが唇にうつったものです。単純性疱疹ウイルスは唇のほかに、目や鼻のまわり、時には外陰部などにもうつりますが、本日は口唇ヘルペスについてお話しします。
このウイルスは、感染した皮膚に直接、唇が接触することによって移ります。その症状は、数個の小さな水ぶくれが葡萄の房のように集まって、ピリピリといったような痛みを感じます。
原因はウイルスですので、最初は他人からうつり、このときは唇の症状も激しく、高い熱が出ることもありますが、2週間もすればウイルスに対してその力を弱める抵抗力、いわゆる抗体ができて自然に治ります。ただこのウイルスは、人の皮膚に入ってしまうと、神経の中に居座り続け、いったん作られた抗体の値が下がった時に、再びカを強めて、水ぶくれを作ります。このような再発がどのくらいの間隔で起こってくるのかは、人それぞれによって個人差があります。
ウイルスに対して、抗体の値を下げてしまう2つの大きな要素は、紫外線と疲れです。夏の紫外線の強い季節や疲れがひどい時に、よく再発を起こします。風邪をひいた後などの体力が落ちた時に、ヘルペスが出やすいのはそのためです。
多くの場合、ヘルペスの症状は唇だけに留まりますが、顔にアトピー性皮膚炎などの湿疹がある場合は、ウイルスが湿疹の症状がある皮膚にうつって、顔中に水ぶくれが広がってしまい、高い熱が出ることもあります。また口の中に拡がって、食事が摂りにくくなることもあります。
再発をくり返す人は、症状が出る前に痛みや痒みなどの違和感が出ることが多いので、すぐに皮膚科などの医療機関を訪れることをおすすめします。何もしなくても、2週間ぐらいで自然に治りますが、症状の重い人はもちろん、症状の軽い人でも薬を飲んだりつけたりすることにより、症状を軽くすることができ、また短い期間で治すことができます。
唇に水ぶくれができたりピリピリした痛みが出た場合には、早めに皮膚科を受診してください。