2011年5月
【木曜】 大きく変わった心肺蘇生法
最近、救命処置で最も大切な心肺蘇生法の考え方が大きく変わりました。今回はこの点についてお話ししましょう。
結論は、胸骨と呼ばれる胸の真ん中の硬い部分の上に両手を重ねて置き、両肘を曲げないように体重をかけて、リズミカルに押すという「胸骨圧迫」を行うというものです。子どもや幼児の場合は、片手だけで十分という画期的な方法です。
これまでの心肺蘇生法の考え方はABCで行なわれていました。
Aは「エアーウェイ」で、気道と呼ばれる空気の通る路を確保することです。Bは「ブリージング」で、息を吹き込む人工呼吸です。Cは「サーキュレーション」と呼ばれる血液の流れを確保する心臓マッサージ、つまり「胸骨圧迫」のことです。これらのことをABCの順序で、それぞれ決まった割合で行うことが大切であると考えられてきました。
しかし、新しい考え方では、AやBはさほど重要視されていません。
最も大切なことは、Cの「胸骨圧迫」であるとされたことです。これは、一般の人々にとっても最も簡単に行なえるというところに大きな意味があります。
私たちは、生活していく上において、いつ救命処置が必要になるかもしれません。
まず倒れた人がいれば「もしもし、わかりますか」と声をかけ、ロや鼻の所に自分の頬を寄せ、同時に倒れた人の胸の動きを観察しましょう。
返事がなく息をしている様子もなく、胸の動きもなければ一刻をあらそう緊急事態です。まわりの人に声をかけ、救急車が来るまでが最も重要な時間です。
難しいことはありません、先ほど説明した心臓マッサージだけを行なえば良いことです。誰もが行なえるようになれば、より多くの貴重な命が助けられるのです。
ぜひ一度、練習しておきたいものですね。
因みに、最近では学校、駅、公的施設など、街のいたる所にAED(徐細動器)が設置されています。これも救命のための画期的な機械であり、簡単に使えるすぐれものです。ぜひ一度使い方の講習会などに参加するのもよいでしよう。