2011年7月
【木曜】 難聴
音を聞くためには、次のような働きが必要です。
まず耳から入った音波が、鼓膜や耳小骨(じしょうこつ)といわれる鼓膜の裏側の小さな骨によって増幅される作用、次に音波を電気的信号に変える内耳の作用とそれを伝える神経、更にそれを音として感じる脳の働きなどです。これらのいずれかに障害があれば、耳のきこえが悪くなり、「難聴」と呼びます。
難聴は、「伝音性難聴」と「感音性難聴」の2つに分けられます。
まず、伝音性難聴と呼ばれるものは、音波の伝わり方が悪くなったために起こる難聴です。原因として、耳あか・外耳道の腫れ・異物などによって鼓膜に音波が届きにくくなったものです。中耳炎・外傷・先天的な異常のために、鼓膜の振動や耳小骨の動きが悪くなる病気があります。
次に、感音性難聴と呼ばれるものは、音波を電気信号に変え、それを音として感じる経路の障害による難聴です。最も多いのは、音波が電気信号に変わる内耳の障害で、老人性の難聴や、騒音作業や爆発音でおこる難聴・メニエール病・突発性難聴などがあります。糖尿病・梅毒・白血病など、全身的な病気の合併症やストレスによっても起こります。感音性難聴の中には、数は多くはありませんが、生命に関わる病気が隠れている事もあります。たとえば脳腫瘍の中で、耳の神経の腫瘍は、難聴が初期の症状であることが多いので油断できません。耳鼻咽喉科専門医に相談し指導を受けるようにしてください。
伝音性難聴の場合は、外耳や中耳など直接手の届く場所の病気ですから、治療や手術で改善できる場合がありますが、感音性難聴は治療の困難な病気も少なくありません。しかし、近年では少しずつ、この感音性難聴への対処法も薬剤・補聴器・人工内耳(じんこうないじ)植め込み手術とリハビリテーションなど、ここ20年くらいの間に大きな進歩がみられます。
耳のきこえが悪くなったかなと思う方は、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。