2011年8月
【木曜】 補聴器を買われる時
おじいさん、おばあさんに息子さんが高価な補聴器をプレゼントしたけれど、ガンガン耳に響いて使えず、机の引き出しにしまったままになっていると言う話を、よく聞きます。
補聴器は、その人の「聞こえ」に合っていないと、雑音がうるさかったり、音は聞こえても何を言っているか分からなかったり、ひどい場合は難聴が悪化したりします。
人間の聴覚は複雑な構造をしています。まず、空気の振動である音を、耳の穴の奥にある鼓膜という薄い膜で捕まえます。鼓膜には小さな骨(耳小骨・じしょうこつ)が付いていて、鼓膜の振動をテコの原理で拡大して「内耳(ないじ)」に伝えます。内耳は骨の中に液体を溜めたかたつむりの様な所で、振動を電気信号に変換します。電気信号は神経を伝わり、脳に上がって行って、音として感じ取り、言葉として理解します。
鼓膜から脳の間の、通り道のどこかの調子が悪くなると、音が聞こえにくくなったり言葉が理解しにくくなります。鼓膜に穴があいている場合などは、手術をすれば聞こえが良くなる場合もありますが、お年寄りの場合は治らない難聴が多いようです。特に老人性難聴は良い治療法がありません。そのような方は補聴器を使われると良いでしよう。
補聴器を買われる場合は、まず耳鼻科で聞こえの検査をして、どのようなタイプの難聴か調べる必要があります。例えば、高音が特に聞こえにくい方には、高音を拡大するように補聴器を調整します。この調整がうまく行かないと、何十万円もする補聴器でも十分使えません。最近のデジタル補聴器はこの細かい調整ができます。
補聴器は専門の店で買われるのが良いでしょう。購入時に調整してもらい、最初は1日2、3時間から徐々に装着時間を増やして、一週間後にまた調整してもらい、着ける時間を徐々に増やして、耳に慣らしていきましょう。
最近の補聴器は、昔ながらの箱形や、耳掛式、耳穴式等があります。耳穴式は小さくて目立ちませんが、スイッチが小さい等、高齢の方には少し使いにくいことがありますのでご注意ください。