2011年8月
【水曜】 甲状腺機能亢進(こうしん)症とは
甲状腺は、喉ぼとけの下にあり、甲状腺ホルモンと呼ばれるホルモンを作っています。
甲状腺ホルモンは、血液中を流れて、心臓や胃腸などの臓器のはたらきや、からだを動かすエネルギーの調節をおこなっています。甲状腺ホルモンが多くなることを「甲状腺機能亢進症」と言います。
甲状腺機能亢進症では、動悸や、手のふるえ、汗をかきやすくなったり、やせてくるといった症状がみられます。また、疲れやすくなったり、落ち着きがなくなったり、イライラしやすくなることもあります。甲状腺機能亢進症の代表的な病気には、「バセドウ病」があります。若い女性がかかりやすい病気ですが、高齢者や男性がかかることもあります。
バセドウ病では、甲状腺が太くなったり、眼が出てきたりするといったことがよく言われますが、これらの症状がない場合もありますので、注意が必要です。
バセドウ病以外には、喉が腫れて痛くなる「亜急性甲状腺炎」や、バセドウ病に良く似た「無痛性甲状腺炎」と呼ばれる病気があります。亜急性甲状腺炎は、かぜ症状のあとに、喉の痛みと38℃前後の熱が出ることが特徴です。無痛性甲状腺炎は、1-2カ月程度、甲状腺機能が亢進したあと、自然に良くなる病気ですが、もともと橋本病のある人に起こることが多く、無痛性甲状腺炎が良くなっても、将来的に、橋本病による「甲状腺機能低下症」になる場合がありますので、注意が必要です。
その他にも、妊娠や出産後に甲状腺機能が亢進する場合があります。つわりや、育児疲れなどに間違われやすいこともありますので、動悸や体重減少などが続く場合には、甲状腺の検査が必要です。甲状腺機能亢進症は、血液検査で甲状腺ホルモンを測定すれば診断できます。内服治療などによって症状は改善していきますので、甲状腺機能亢進の症状がみられる場合には、一度、かかりつけ医に相談することをおすすめします。