2011年9月
【水曜】 大腸がんの早期発見・早期治療
がんの治療においては早期発見と早期治療が重要であることは、皆さんご存知のことだと思います。その中でも、比較的早期に発見しやすいのが大腸がんです。
大腸がんは、他のがんに比べて転移が遅いため、早期発見・早期手術によって完全に治癒する確率が高いと言われます。
早期発見には、まず「便潜血反応」といって、便に血が混ざっていないかを調べます。これは「便に血液が混ざっているか、いないか」の判定に過ぎません。便潜血が陽性であっても腸に異常所見のある方は半分ほどで、がんが発見されるのは4%程度です。
がんの初期症状を捉えることは、通常は容易なものではありません。大腸がんにおいては、その初期に見られるポリープの段階からでも便に血が混じることが多いため、患者さんへの負担が極めて少ない便潜血の検査を行うことで早期発見に繋げようというわけです。即ち、便潜血反応で陽性の時には内視鏡検査を受けることをおすすめします。
大腸がんは、そのほとんどが小さなポリープが大きくなっていくことで発生します。直径が約2cm以上になると、その一部ががん化していることがあります。小さなポリープの状態か早期の状態で発見できれば、お腹を切らないで肛門から大腸内視鏡を挿入する方法で、ガンの部分のみを完全に取り切ってしまうことも可能です。
もし、進行して大きくなってしまうと、大腸内視鏡では取り切れず、体に負担のある治療法となってしまいます。最近では、お腹に小さな穴をあけ、そこから特殊なカメラ(腹腔鏡)をお腹の中に入れて、手術を行なう方法がとられます。お腹を切る手術に比べて術後の痛みが少なく、傷口も目立たず、術後10日前後で退院できるなどの利点から急速に普及しています。
大腸がんは増加傾向にあります。早期発見・早期治療のために、40歳以上の方は年に1回は便潜血反応を受け、陽性が出れば大腸内視鏡等の検査でチェックしてもらうようにしましょう。