2011年9月
【火曜】 タバコと歯周病
歯の病気の中で多いのは、むし歯と歯周病です。それぞれが歯を失う原因のおよそ50%ずつを占めています。
歯周病とは、歯を支えている歯ぐきやあごの骨の病気で、一般的には歯槽膿漏とも呼ばれています。歯周病は老化ではなく、細菌が起こす感染症であることがわかっています。細菌が歯と歯ぐきの境目につくことで、歯を支えている歯ぐきやあごの骨を壊していくのです。
直接の原因は細菌ですが、歯周病にかかりやすくしたり悪くしたりするものがいくつか分かっています。その中で、最も悪影響を及ぼすのがタバコです。
タバコが歯周病に及ぼす影響は、「かかりやすい・気付きにくい・治りにくい」の3つに分けられます。
第1に、タバコは細菌に対する抵抗力を弱らせるため、歯周病にかかりやすくなります。
第2に、ニコチンが血管を収縮させることで、歯周病の最初の症状である歯ぐきの出血が隠されてしまい、それによって歯周病であることを見逃したり、重症になるまで気づくのが遅れたりします。
第3に、いざ治療を受けたとしても、タバコの各種成分による血流障害や血液中の状態の悪化によって、治ろうとする仕組みがうまく働かないために、タバコを吸っていない人に比べると治りがよくないのです。
タバコの影響はからだのあちこちに及びますが、それを目で見ることができるのは唯一お口の中だけです。タバコを吸っている人の歯ぐきは、乾燥してごつごつしており、色も黒っぽくなります。しかし、禁煙をすれば、歯ぐきはすぐに健康に戻ろうとします。みずみずしく、やわらかく、きれいなピンク色になり、歯周病の進行も止まるか確実に遅くなります。
お口の健康を取り戻すには禁煙はとても効果があります。遅すぎるということはありませんので、歯科医院をぜひ受診してください。