2011年12月
【木曜】 くり返す女性の膀胱炎
膀胱炎の症状は、おしっこをする時の痛みや、いつもよりトイレの回数が多くなる頻尿、おしっこをし終わったのにまだ残っている感じがする、尿が濁るなどです。これらは、尿の通り道である尿道から細菌が侵入して起こる場合が多く、女性は尿道が男性に比べて短く、尿の出口が膣や肛門に近いため、女性に多くみられます。
診断は、おしっこを顕微鏡で調べて、尿の中に白血球や細菌を認めれば、膀胱炎と診断されます。治療は、抗生物質の投与によって通常は短い期間で治るものです。しかし、1-2回薬を飲んで症状が出なくなったと感じても、副作用がなければ、処方された分は必ず飲んでください。完治していないのに勝手に飲むのをやめてしまうと、慢性化することがあります。
膀胱炎をくり返す原因は、仕事や生活上すぐにはトイレに行けない、もしくは行こうとしない、足元が冷えやすい、水分を十分に取れないとか取ろうとしない、便秘がちであるなど、膀胱炎になりやすい環境におかれているためと思われます。
膀胱炎をくり返さないためには、普段からお茶や水を中心に水分を多めにとるようにすること、尿意を感じたら我慢せずにトイレに行くこと、排便後は前から後ろへ拭くようにすること、下半身とくに足元が冷えないようにすること、十分に休養をとる、便秘にならないように気をつけましょう。
これらを守っているにもかかわらず膀胱炎をくり返す場合は、膀胱がんや膀胱結石、残尿量が増加している状態など、他に何か病気が隠れている可能性があります。さらに、婦人科領域の腫瘍に対して骨盤への放射線治療をしたために起こる「放射線性膀胱炎」、原因はよく分かっていませんが、尿が溜まると尿意というよりも下腹部に痛みを感じる「間質性膀胱炎」などの存在が疑われます。
女性の場合は、3分ほどで手軽にできる膀胱鏡検査によって、ほとんど痛みを伴うことなく、これらの病気を診断することができます。膀胱炎をくり返す場合は、恥ずかしがらずに早急に泌尿器科を受診してください。