2012年2月
【木曜】 アレルギー性鼻炎
今年もまもなくスギ、ヒノキ花粉症のシーズンとなります。
例年、六甲山系の地域では2月中旬から4月上旬までスギ花粉が、3月下旬から5月上旬までヒノキ花粉が飛散します。この地域では、がけ崩れなどの防災のため人工的にオオバヤシャブシ(大葉夜叉五倍子)が植えられ、この花粉が3月から4月に飛散し原因となる場合もあります。
治療は、抗アレルギー薬と呼ばれる飲み薬が基本となります。特に例年症状の出る時期の決まっている方は、その時期の1~2週間程度前から飲み始めるという初期治療を行うことで、シーズン中の症状のコントロールがしやすくなることがわかっています。抗アレルギー薬は非常に種類が多く、どの薬剤が効果が高く、副作用がないのかは個人差が大きいため、何度か薬剤を変更して合うものを探す必要があります。またステロイド薬の注射は、アレルギー専門施設ではその副作用の問題からほとんど行われていません。
アレルギーを起こす物質を避けるために、「花粉飛散情報」は有用な情報です。これは、細かい地域や時間単位で検索できるものです。花粉飛散情報に注意して、飛散が多い時には外出を控えることや、どうしても外出する時にはマスクや眼鏡を着用すること、布団や洗濯物の外干しは避けるようにすることです。花粉症用マスクは体に入る花粉を約1/6に、花粉症用眼鏡は約1/4に減少させることができます。
レーザー照射による治療は、シーズン前に行う治療です。スギ花粉症に対して行う場合は、遅くとも1月中旬までに行う必要があります。シーズン中に行うとかえって症状が強く出てしまう可能性があるためです。
現在、唯一根本的に完治をめざすことができる可能性のある治療法として特異的免疫療法があります。しかし、治療に時間がかかることや、強いアレルギー反応が起こることもあり、施行できる医療機関が限られています。
花粉症のある妊婦さんは、要注意です。胎児に対する影響を考えて慎重に治療をする必要があるからです。特に、薬物による奇形が問題となる妊娠4ヵ月頃までは、原則として薬物療法は避けたほうが安全です。詳しくは専門医にご相談ください。
※なお、3月の木曜日には「花粉症」のテーマを掲載します。あわせてお読みください。