2012年4月
【月曜】 子どもの急な発熱の仕組み
小さな子どもはよく熱を出します。しかし熱が出ることは決して悪いことばかりではありません。つまり熱も必要があって出るからです。
ウイルスや細菌が体内に入ると、体はそれを外敵とみなして取り除こうとします。これを免疫といいますが、熱が出ることも大切な免疫の一つです。リンパ球やマクロファージと呼ばれる、いわば体の中の兵隊さんたちも頑張るのですが、それだけでは間に合わない場合もあります。そんな時、体は熱を出すことによって悪者を退治しようとします。ウイルスや細菌は熱に弱いので、熱が高くなると逃げ出してしまうというわけです。
よく「38.5度以上で坐薬を使用」という指示が出ます。しかし元気であれば、下手に熱を下げない方がウイルスや細菌を早く退治できる場合もあります。ただし水分はしっかりと摂り、頭などは冷やしておくことも大切です。特に生後3カ月以下の乳児の発熱の場合には、早めに小児科を受診してください。
またぐったりして元気がない、あるいは熱性けいれんなどの持病がある子どもさんは、かかりつけ医の指示通りに解熱剤や抗けいれん剤等を使用し、改善が見られないようであれば早めに診察を受けましょう。
さて、大人も含め、熱が出る前になぜ寒気がするのでしょうか?簡単にご説明します。
ウイルスや細菌が体に入ると「このウイルスには39度の熱を出せ!」と脳が指令を出します。しかし一瞬にして熱は上がりません。この時、体温が仮に36度だとすると、脳が指令を出した39度とは3度の差があります。脳は自分が思っている温度より体の方が3度寒いと感じます。このため脳は、筋肉をブルブルと震えさせて熱を上げようとします。これが寒気と震えの正体です。やがて39度まで上がると、脳は寒気を感じなくなり、この時じわっと汗が出ます。このタイミングで布団を薄くしたり薄着をさせたりして、体温が上がり過ぎないようにします。厚着のままでいるとどんどん熱が上がってしまい、かえって悪い環境を作ってしまうからです。
発熱はありふれた症状ですが、この仕組みをよく知り、あわてずに上手に付き合うことを心がけましょう。