2012年5月
【水曜】 睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群という病気をご存知でしょうか? 名前の通り、睡眠中に息が止まる病気のことです。一晩で7時間の睡眠中に、30回以上の無呼吸があったり、1時間あたりに無呼吸の回数が5回以上あると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
病院で診断を行う際には「AHI」という言葉をよく使います。AHIとは、1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起こったかを示す言葉です。例えばAHIが30あると、1時間あたりに30回の無呼吸や低呼吸があったということになります。AHIが5までは正常、5から15までは軽症、15から30までは中等症、30以上は重症と診断されます。
次に検査方法をご紹介します。睡眠と呼吸状態の両方を測定できる検査を「PSG検査」と言います。睡眠状態を調べるために、頭や顔に電極と呼ばれるコードをつけて睡眠段階を判定します。他にも、いびきを調べるためのセンサーや、呼吸努力を見るために胸と腹につけるセンサー、また体の向きを調べるセンサー、呼吸状態を判定するためのセンサー、酸素の状態をみるセンサーなどをつけて測定を行います。病院へ入院し、たくさんのセンサーをつけた後、一晩、睡眠状態の測定を行います。
他にも「簡易検査」と呼ばれるものもあり、呼吸状態を見るセンサーと酸素の状態を見るセンサーだけで検査するものです。
では、睡眠時無呼吸症候群と診断されるとどのような治療を行うのでしょうか。
軽症では、歯科でマウスピースを作ってもらって治療することで改善することがありますが、重症になると、多くの方は「CPAP(シーパップ)」という治療方法を選択します。先に紹介したAHIが20以上の方は保険診療の対象となり、毎月医療機関に外来受診を行います。
CPAPはお弁当箱ぐらいの大きさで、重さも1kg前後の小さな機械です。機械からホースのような物を通して風が送られます。睡眠中に顔にマスクをつけ、送られてくる空気によって、塞がっている上気道を拡げます。基本的には副作用の少ない治療法です。睡眠時無呼吸症候群と診断されたその日から使用することができます。CPAP療法によって、正常な呼吸が行えるようになることが治療の目標です。