2012年5月
【月曜】 妊娠と薬物
妊娠中の薬剤が胎児に及ばす影響ですが、妊娠中はどうしても必要な場合以外は薬剤を使用すべきではないというのが基本です。先天異常のおよそ2~3%は妊娠中の薬物の使用が原因です。妊娠の初期即ち、12週までは特に危険です。この時期は赤ちゃんの各臓器が作られる時期です。この時期の異常は赤ちゃんの奇形につながります。これ以降は胎盤の異常や、臍帯の血菅の収縮を起こしたりする薬があります。どうしても必要な薬は主治医や、産婦人科の先生に相談してください。
また、薬剤が動物実験で異常が無くても、人間ではそれは適応されません。昔、睡眠薬として、使用されたサリドマイドは、ウサギでは眼球の異常を来たしますが、人間では四肢の異常を来たしました。人間で実験していないので、妊娠中の薬物が胎児にどのような害を起こすかは分からないのが当たり前です。お母さんが口から摂取した薬物は胎盤を通過して胎児に移行して害を起こすのです。具体的には、一部の抗生物質、抗ヒスタミン薬、血液凝固予防薬、ほとんどの糖尿病治療薬などです。
糖尿病の飲み薬は、胎盤を通過して胎児に低血糖を起こします。血圧を下げる薬でよく使われている薬の中には、胎児に害を及ぼすものもあります。甲状腺の薬は、妊娠初期では奇形につながります。ニキビの薬や皮膚が硬くなるのを予防するのに使われる、ビタミンAやビタミンDを多く含む塗り薬や飲み薬は、皮下脂肪に6カ月も蓄積するため、やめた後も危険です。抗うつ薬は安全ですが、抗不安薬は、妊娠後期に服用すると生まれた赤ちゃんが震えたり、過度の反射を起こすことがあります。
さらに、妊娠後期では、解熱薬が早産や胎児の胎内死亡につながることがあります。
ワクチンについては、生ワクチンは害がありますが、不活化ワクチンは、必要があれば打たれても問題ありません、インフルエンザワクチンは受けてください。
最後になりますが、妊娠中はタバコやアルコールは絶対にやめてください。