2012年6月
【金土日】薬疹のはなし
薬疹とは、“薬を服用したり注射をした後に何らかの皮膚の症状が現れ、薬剤がその皮膚症状の原因であることが確定された場合”のすべてを指します。
薬疹による皮膚症状は、体のごく一部のみに生じるものから、全身に生じるものまでさまざまなタイプがあります。特にひどいタイプの場合には、発熱や肝機能障害などの全身症状を伴います。
薬疹の原因は大きく分けて、例えば、抗がん剤のように薬剤自体の作用によって皮膚症状が生じる場合と、薬剤が有する作用とは関係なくアレルギー性に生じる場合とに分類されます。
アレルギー性薬疹とは、病気を治すために体内に入ってきた薬剤に対して、患者さん自身の免疫が、薬剤を自分の体にとって有害な異物と勘違いすることにより症状が出るものです。但し、アレルギー反応を起こすまでに、体内の免疫はしばらくの間様子伺いをしますので、アレルギー性薬疹は新たに薬剤を開始して1週間後から1ヶ月後の間に起こる場合が大部分です。
従って、生まれて初めて服用した薬に対してアレルギー反応を起こすことはありませんし、逆に半年も1年も前から飲んでいる薬に対して、今さらアレルギーは起こりえません。新しい薬を処方されて服用を開始した日に皮膚症状が生じると、患者さん達はすぐに “薬のアレルギーかな?”と心配されますが、実際にはその皮膚症状は別の原因によるものなのです。反面、以前に服用して異常がなかったからといって、現在もアレルギーを起こさないとの保証はありません。
薬疹が疑われた場合には、とりあえず原因となる可能性のある薬剤を中止することが重要です。但し、薬剤を中止するだけで皮膚症状が良くなる場合もありますが、その後も長く持続することもあります。果たして本当に薬疹だったのか? 仮にそうだとして、どの薬剤が原因だったのか?を確認するためには、皮膚症状が良くなった後に「パッチテスト」と呼ばれる検査などを行います。
従って、薬疹が疑われた場合にも決して自己判断で薬を中止したりせずに、必ず医療機関を受診してください。