2012年7月
【水曜】 めまいが度々起こったら
人は突然めまいに襲われると、誰でも「生命にかかわる重大な病気」ではないかという不安にかられるものです。そのようなことが度々起こればなおさらでしょう。
めまいは中枢神経、すなわち脳の病気で起こるものと、それ以外の病気で起こるものに分けられます。前者の「中枢性めまい」は命にかかわる重大な病気であることがあり、中枢性めまいの可能性があれば、救急車を利用してでもすぐに受診する必要があります。
中枢性めまいである可能性を示す症状として、頭が割れるように痛い場合や、手足がしびれたり、明らかに麻痺が起こったりする場合、言葉がしゃべりにくくなっている場合、嘔吐をともなう場合、さらに意識レベルが低下している場合などがあります。
これに対して、中枢性めまいを思わせるような症状がないのに、度々めまいが繰り返されるような場合には、血圧の異常や耳の病気、その他が考えられます。耳の病気でよく知られているものに、「メニエール病」という病気と「良性発作性頭位(りょうせい ほっさせい とうい)めまい」という病気があります。いずれも中枢性めまいを示唆する意識レベルの低下などの症状は伴いません。
メニエール病は、耳の奥にある三半規管と呼ばれるところが時々むくんでくる病気です。むくみが取れる薬を服用すると改善します。良性発作性頭位めまいは、三半規管の中を老廃物が転がることで起こる病気です。その老廃物が体の外に出されれば改善します。薬を服用することや、頭の位置を変えるリハビリテーションなどで改善を促す治療法もあります。
どちらの病気もどのくらい治療の時間がかかるかは、病状の進み具合や年齢が関係していますから個人差があります。
良性発作性頭位めまいは、社会の高齢化により増加してきた病気で、めまいを訴える外来患者の半数以上を占めるようになってきました。一方、メニエール病は若い人でも起こる病気で、めまい発作を繰り返しているうちに聴力が悪化することがあります。
めまいが度々起こる人は、鑑別診断するために一度は耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。