2012年8月
【木曜】 夜間頻尿の治療について
夜寝てから朝まで一度もおしっこに起きることなく眠れていますか。夜間におしっこに起きることは、寝ぼけて転んだり日中の睡眠不足を招いたりします。転ぶことは骨折につながりますし、また介護者がいる場合では介護者の負担にもなります。そのため最近は、夜間頻尿に焦点を当てた医療が注目されてきています。
夜間頻尿とは、国際的な学会で「夜間におしっこのために1回以上起きて困っている」状態とされています。特に夜間の排尿回数が2回以上になると色々と困ることが多くなってきます。
夜間頻尿は、以前は前立腺肥大症の一症状と考えられてきました。現在も前立腺肥大症が最も重要な原因ですが、最近は、その他にも様々な原因が絡んでいることが分かってきました。
膀胱の刺激が強い場合や、尿が過剰に生産される場合や、薬の使い方や高血圧、糖尿病がある場合も夜間頻尿になることがあります。
具体的に、膀胱の刺激症状が強いときには、尿路に感染・炎症・結石・がんなどが存在する場合もあるため、泌尿器科的な検査が必要です。また特に誘因なく膀胱の活動が過剰になる「過活動膀胱」や、膀胱の粘膜の知覚が過敏になる「間質性膀胱炎」も原因となります。いずれも専門的な疾患ですので泌尿器科で相談することをおすすめします。
尿が大量に生産される場合には、飲む水の量が多い場合やホルモンの異常などが考えられます。
お薬の使い方に関しては、頻尿に対する薬でさえも、使い方次第では逆に夜間頻尿を引き起こすことがあります。泌尿器科で説明を受けて処方してもらうようにしましょう。その他、利尿剤や降圧薬も使い方次第では夜間頻尿になりますので、既に処方されている薬についても、泌尿器科で相談されれば改善するでしょう。
また高血圧症の方は、ホルモンの関係で夜間に尿が作られる状態になることも知られています。また夜間頻尿があると不眠になりますが、逆に睡眠障害があると夜間頻尿になることも知られています。
夜間頻尿は、様々な原因で起こることがあります。年齢のせいだと決めつけてしまわずに、かかりつけ医に相談して、必要であれば泌尿器科専門医に受診されることをおすすめします。