2012年11月
【金土日】大人のアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は子どもに多くみられる病気と思われがちですが、実は大人も数多く受診されています。
大人のアトピー性皮膚炎は、子どもの時に発症したアトピーが大人に移行したとする説や環境の悪化やストレスによる説などが言われていますが、確かなところはまだわかっていません。
アトピー性皮膚炎のメカニズムを簡単に説明しますと、人間には本来、体内に都合の悪いものが入ってきた時には熱が出たり、吐いたりして悪いものを取り除く機能があります。皮膚についても同じで、ほこりや化粧品などの異物が付いて、体の中に取り込まれると、体がこれを取り除こうとする反応が起こります。アトピー性皮膚炎は、反応しなくていいものまで過敏に反応して痒みを起こし、引っ掻くという動作により異物を取り除こうとします。その皮膚を引っ掻く動作が正常の皮膚の機能まで破壊して、さらに過敏な反応を繰り返すという悪循環が起こってきます。
外からの原因(接触源)は様々なものがありますので、治療に際してはその原因を見つけることも大切になってきます。例えば、手に症状がきつく出ている場合は洗剤の場合もありますが、日常使う食材にも気をつけなければいけません。また夏の時期は、自分の汗にもかぶれる場合があるので、自分の症状と照らし合わせて原因を考えてみることも大切です。アトピー性皮膚炎は、単一の原因だけでなくストレスなどの複数の原因を含んでいることが多く、人によって違うため、診療では個人の生活環境について話し合うこともあります。
治療は、大人のアトピー性皮膚炎に特徴的なものはなく、基本的にスキンケアと飲み薬、つけ薬が主で、症状によってそれらを使い分ける必要があります。必要以上にステロイド剤の使用を怖がらずに、主治医にこまめに診てもらうことが大切です。治療中に急に症状が悪化した場合は、単純性ヘルペス等の感染症の合併も考えられますので、自己判断で薬を中止したり、他の部位に使うように指示された薬をつけたりせず、直ちに主治医に診てもらうことが必要です。また、民間療法も、自分の判断で行わず、必ず主治医に相談することをおすすめします。
大人のアトピー性皮膚炎の合併症として、特に顔の症状が強い場合は、白内障や網膜はく離などの眼科的な病気も見られますので、眼の調子が悪いと思われた場合は、眼科も受診してください。