2012年11月
【月曜】 冬に流行る乳幼児の嘔吐下痢症
冬になると乳幼児が嘔吐や下痢の症状を起こす病気が毎年流行ります。その多くは、ロタウイルス、ノロウイルスをはじめとするウイルスの感染が原因で、人から人へとうつります。
医学的には感染性胃腸炎、俗には嘔吐下痢症、胃腸風邪などと呼ばれています。
幼稚園や保育園に通う乳幼児がよく罹りますが、学童、大人にもうつるので、家族全員が罹ることも珍しくありません。
症状は、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などで、「昨日の夜から急に何度も吐いています」、「夜中から急にお腹を痛がり、何度も下痢をしています」などの訴えで病院に来られます。胃腸炎を起こすウイルスに対する特効薬は今のところありません。医療機関では、吐き気止め、整腸剤、下痢止めなどの薬が処方されますが、結局、体の抵抗力がウイルスの活動を抑えて治るのを待つことになります。
原因や個人差にもよりますが、嘔吐や発熱は数日以内、下痢は1週間以内に治まることがほとんどです。胃腸炎で一番怖いのは脱水症になることです。子ども、特に乳幼児は大人と比べて体の中の水分の割合が多いため、嘔吐や下痢で水分を多く失うと半日以内でも脱水症になります。
家庭での対応としては、脱水症にならないように、水分をこまめに与えることが最も大切です。吐き気があるときは、少しずつ、何回かに分けて与えるのがコツです。欲しがるからと言って、一度にたくさん飲ませると吐いてしまいます。与える水分は、適度な糖分、塩分を含むものがよく、市販のものでは、大人用のスポーツドリンクより、子ども用のイオン飲料の方が成分のバランスがよく、吸収もよいのでお勧めです。粉を溶かす医療用のイオン飲料も医療機関で処方できますので、かかりつけの先生に相談してください。
嘔吐や下痢を繰り返し、口から水分も摂れず、「おしっこが半日以上でない」「顔色が悪くぐったりする」「うとうとして反応が弱い」などの症状があるときは、重い脱水症の可能性があります。その時は、点滴で水分を補う必要があるので、夜間でも救急病院を受診することをおすすめします。