2012年12月
【木曜】 前立腺がんの診断と治療
前立腺とは、膀胱の出口付近に尿道を取り囲むように存在している男性特有の臓器です。この前立腺にできるがんを前立腺がんといい、現在日本でも急速に増加しています。前立腺がんの増加には、食生活の欧米化や人口の高齢化などが関係していると考えられています。
前立腺がんは加齢に伴い増加するがんで、特に50歳以上の男性で多く見られます。がんの中では比較的進行の遅いがんの一つであり、初期には無症状なことが多いのですが、がんが進行すると尿が出にくい、尿に血が混じるといった症状が出てきたり、がん細胞が骨に広がると腰痛などの症状が見られます。進行していない早い段階で発見することにより、治療の選択肢も多く、高い治療効果が期待できます。
前立腺がんの早期発見のために有効な血液検査に「PSA検査」というものがあります。
PSAとは、前立腺肥大症や炎症、がんの時に血液中に多く出る物質のことで、少量の血液で測れる簡単な検査です。PSAの値を調べることで、がんの可能性があるかどうかがわかります。泌尿器科の医院では、直腸からの前立腺の触診や超音波検査によって前立腺の状態をチェックします。がんの疑いが強ければ、前立腺の組織を針で取り、がん細胞の有無を調べます。
治療には手術療法、放射線療法、ホルモン療法の3種類があり、病気の状態によって、また患者さんの希望も考慮して選択されます。さらにこれらの3種類の治療法を組み合わせて実施されることもあります。手術療法にはロボット手術、放射線療法には粒子線治療といった最先端の治療法もあり、またホルモン療法にも新しい薬剤が開発されて、もうすぐ実際の医療現場で使われようとしています。まさに日進月歩の治療方法の開発が進められている状態です。
尿が出にくい等の症状のある方やPSA検査で異常がある方は、早期発見・早期治療をするためにも、お近くの泌尿器科を受診されることをおすすめします。