2012年12月
【水曜】 真冬に襲う突然死~高齢者の入浴に注意~
寒い季節になるとインフルエンザや、ノロウイルス・ロタウイルス等による胃腸炎、あるいは血圧が急に上がって病気が起こりやすくなります。あまり知られていませんが、お風呂での事故死は交通事故死より多いと言われています。
入浴中の突然死は、1年の中では12月から2月の3カ月間が多く、全体の約半数を占めています。年齢は、男性では60歳以上が84%、女性では70歳以上が82%を占めています。寒い冬の入浴中の突然死の原因は、脱衣場と浴室との温度差、洗い場と湯船との温度差が大きいことも大きな原因と考えられます。
この温度差の大きさが、血管や心臓に大きく影響を与えるため、急激に血管が縮んだり開いたりして、血圧はジェットコースターのように変化します。心臓病を持っている方や高血圧の方は、この危険率がさらに高くなります。自分では健康だと思っている人でも、必ず日頃から血圧や心臓についての健康診断を受けて、体の様子を調べておくことが必要です。
高齢の方は、「一番風呂」や「42度以上の熱いお湯」、そして「20分以上の長湯」を避けましよう。肩まで浸かる日本式入浴法も突然死を起こす一つの原因と言われていますので、胸のあたりまでで辛抱しましょう。入浴時間がいつもより長いと思われた場合には、必ず家族が本人に声をかけましょう。これは、入浴時の突然死を防ぐために、最低限守っていただきたい事柄です。
もし不幸にも家の人が入浴中に意識を失っていれば、救急車を呼んで治療を受ける必要があります。洗い場で気を失っている時や、息が止まっている時には脳卒中を起こしている場合が多いので、首を横にして楽に呼吸ができるようにします。
心臓が止まっている時は、心臓マッサージ(胸骨圧迫)をします。そして救急車の来るのを待ちましょう。心臓マッサージの詳しい方法は、医療機関や消防署等で配布しているマニュアルを参照してください。
日頃から、高齢の方がどうも何時もと状態が違うと感じられたら、入浴時には特に注意しましょう。