2012年12月
【火曜】 美容外科と形成外科の違い
美容外科は形成外科の中の一分野で、どちらも外見が美しくなるように治療するという点では同じです。
形成外科では、見た目が問題となる顔などのケガや骨折、皮膚腫瘍、外見の先天的な異常などを公的な医療保険で治療します。これに対して美容外科は、医学的には正常と考えられる外見をさらに美しくする医療で、保険が効かない自費診療となります。二重マブタや鼻を高くする手術、豊胸手術、脂肪吸引、シワやシミの治療、むだ毛の脱毛などが一般的な治療です。
これらの美容外科の治療には形成外科の技術が不可欠であり、美容外科学会に入会するには形成外科の認定専門医の資格が必要です。
しかし、認定専門医の資格がなくても美容外科と掲げられる現状では、形成外科の研修を全く受けておらず、傷などをきれいに治す技術に乏しいまま悲惨な治療結果を招くなど、医師としてのモラルを欠く美容外科医も一部に見受けられます。そういった医師たちが派手な広告を使って患者さんを集めて、手術の結果が手術前の説明と大きく違う、法外な手術料金のローンを組ませる、手術の後は全く対応せず恐喝まがいの暴言を吐くなどのトラブル等が生じています。
もし、美容外科医による治療を希望する場合は、テレビや雑誌などの広告に惑わされずに、インターネットなどで形成外科専門医の資格を持った医師かどうかをよく調べましょう。できればかかりつけの医師に相談して、自分が治療を受けようとしている美容外科医が信頼できる経歴の医師かどうか、助言を受けることをおすすめします。
不幸にして、問題のある美容外科医の治療を受けて後遺症が残った場合は、美容外科を転々と受診するのではなく、ぜひとも形成外科を受診して適切な治療を受けてください。また、治療費のトラブルは消費生活センターに、恐喝などの犯罪行為を受けた場合は警察に、勇気を持って相談しましょう。