2012年12月
【月曜】 子宮内膜症のはなし
子宮内膜とは、子宮の一番内側にある部分で、元々は胎児をはぐくむ場所です。
この内膜は、卵巣から分泌されるホルモンによって厚くなり、妊娠がなければ、剝がれて月経となります。つまり、月経周期では内膜の増殖と剥離の繰り返しが行われています。したがって、閉経などで卵巣ホルモンが出なくなると子宮内膜も機能しなくなり、薄くなってしまいます。
「子宮内膜症」はこの内膜が、本来ある場所以外のところに存在する病気をいいます。その場所で多いのは子宮の筋肉内、卵巣、子宮の近くです。まれには腸や肺などにも存在することがありますが、原因は不明です。
内膜症のある場所では、月経の周期に合わせて増殖と剥離出血を繰り返します。子宮の筋肉内にあれば月経痛は強くなり、子宮は肥大して「腺筋症(せんきんしょう)」という病気になります。卵巣にあれば出血のたびに卵巣内に血液が貯って、「チョコレート嚢腫(のうしゅ)」という病気になります。またお腹の腸の表面に存在する場合には、度重なる出血が原因で癒着が起こったり、卵管にあれば不妊の原因にもなったりします。おもな自覚症状は月経痛や性交痛ですが、場所によって症状は異なります。
治療は、内膜の増殖や剥離を抑える方法を行います。
一つは、ピルを使って内膜の増殖を抑える方法です。月経はありますが、内膜症は軽くなり改善していきます。避妊効果があるので、近いうちに妊娠を望む方には適当ではありません。もちろん、妊娠した場合は内膜症の症状が軽くなるので自然の治療法となります。
もう一つは、ピルであまり効果がない方や閉経が近い方には、卵巣ホルモンを抑える方法があります。閉経した状態にして、月経が来ないようにする方法です。ただ、人によって更年期症状が現れたり、骨粗鬆症になる危険性もあるので、6か月を超える使用はできません。しばらく休んでまた使うという方法を行います。
これらの薬で治療ができない、あるいは腫瘍になってしまった内膜症は手術による治療が行われます。子宮内膜症が心配な方は、婦人科の受診をおすすめします。