兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2013年1月

【月曜】 糖尿病による網膜症のはなし

 糖尿病は血管の病気といっても過言ではありません。目をカメラに例えると、網膜はフィルムの部分にあたりますが、その網膜にある細かな血管が障害されて、自覚症状がないまま発症することも少なくありません。

 網膜には細かい血管が多いのですが、その血管に出血などがみられる病気が「糖尿病網膜症」です。失明する原因として社会的な問題となっていますが、「目は大丈夫」と自己判断して眼科を受診しない方が多いのが現状です。

 糖尿病と診断されてからの日数(罹患期間)が長くなると、網膜症は発症しやすくなります。若い人ほど進行が早いものですから、眼科を定期的に受診しましょう。

 網膜症の進み具合と治療についてお話します。

 まず、血管が塞がり始めて起こる早期を「単純網膜症」と呼びます。眼底に小さな出血がみられ、自覚症状はないことが多いです。例外は、網膜中心部に水がたまる「黄斑浮腫(おうはんふしゅ)」と呼ばれる状態で、急速な視力低下が起こります。治療は、網膜の奥の硝子体に薬を注入したり、患部だけをレーザー光線で焼いて食い止めます。

 さらに進行すると「増殖前網膜症」になります。眼底の血のめぐりが悪くなって白い斑点が多発するようになります。治療は、網膜にレーザー光線をあてて固める治療(光凝固法)を行います。視力に関係ない場所だけを破壊して、その時点での視力を維持することが目標です。

 ひどくなった状態を「増殖網膜症」と呼びます。通常と異なる、壊れやすくて新しい血管(新生血管)が目の中の硝子体に向かって現れてくるために、硝子体から出血して突然見えなくなります。さらに重症になれば網膜剥離や緑内障に至るものです。治療は、先に述べた網膜をレーザー光線で固める方法を繰り返したり、目の中の硝子体そのものを手術します。

 糖尿病は内科の病気ですが、「増殖網膜症」になると、血糖のコントロールとは無関係で進行します。ひどくなれば腎臓の人工透析に至ることもあります。「気づいた時には遅かった」とならないように、内科と眼科を両方受診して、合併症を起こさないようにしましょう。

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