2013年3月
【金土日】むずむず脚症候群
「むずむず脚症候群」とは、ヨーロッパでは17世紀に報告があり、日本では1997年に日本睡眠学会で報告されました。
自覚症状として、じっとした姿勢や横になったりしていると、主に膝から下に「むずむずする」「じっとしていられない」「痒い」だけでなく、「ピンでなぞられているような」「針で刺すような」「火照るような」「虫が這っているような」などの異様な感覚が現われます。患者さんによっては、脚だけでなく腰から背中、また腕や手など全身にまで現れるようです。時には「振動」のような感覚まで感じたり、「激しい痛み」を感じるなど様々な症状を来します。
このむずむずとした不快感や痛みなどの異常感覚・身体症状が、膝から下や腰・背中・腕などに起きるため、患者はこれを抑えようと、常に脚を動かしたり身体をさすらなければならない状況に追い立てられ、睡眠障害となって昼間の疲労感を引き起こします。
正確な原因は不明ですが、鉄欠乏性貧血、腎不全で人工透析を受けている人に高頻度に発症します。パーキンソン病、妊娠、慢性呼吸不全、心不全、糖尿病、甲状腺機能低下症、尿毒素、痛風、結核、肝炎、肺炎、関節リウマチ、線維筋痛症などの病気に伴う症状、抗うつ薬や抗精神病薬を服用している場合に起きるといわれています。
この病気の一番の問題点は、身体所見や検査では異常が認められないため、この病気であると診断できないまま、無駄な投薬治療と時間を費やして、いわゆる「ドクターショッピング」をすることも稀ではありません。
治療は、これらの病気を改善することは言うまでもありませんが、日常的にはカフェインやアルコールなど嗜好品を避けること、禁煙も重要です。就寝前に、脚のストレッチやマッサージを行って筋肉のこわばりを取ると、改善されることもあります。また、股関節のストレッチを意識しながらラジオ体操を行うことや、立ったり歩く時に足の小指の先が地面につくようにするのも効果があるようです。
治療薬として、貧血があれば鉄剤の服用で症状が改善することがあります。また抗けいれん薬(クロナゼパム・バルプロ酸など)や、パーキンソン病の治療に使う薬も効果があります。
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