2013年3月
【木曜】 成長期のお子さんの「成長痛」
保護者やスポーツ指導者の方から、「成長痛」という言葉をよく耳にします。成長痛とは何でしょうか? 様々な本を調べても情報が氾濫していてよく分かりません。医師によっても使い方がいろいろですが、多くは、成長期の子どもにおける、関節周辺の原因のよくわからない一時的な痛みを総称して、成長痛と呼んでいます。
代表的な病気の3つを説明します。
1つ目は、「骨端症」といって、腱が骨についている場所で起こった痛みです
10代前半の子どもでは骨の成長が速く、筋肉の伸びが骨の成長より遅いのです。そのため、筋肉が骨についている場所をひっぱるために痛くなることがあります。
代表的なのは「オスグッド病」と呼ばれる、膝のお皿の数センチ下の部分に痛みが出るものです。走ったり蹴ったりすることの多いサッカー部の男の子などに見られます。同じ原因で起こる踵の痛みは「シーバー病」と呼ばれています。
2つ目は、「単純性関節炎」といって、関節が疲労して起こる炎症です。
日中よく動き回ったり跳んだりした後で、関節の軟骨に負担がかかり、夜になると関節の炎症が起こったりします。幼稚園から小学校低学年の子どもに起こる「単純性股関節炎」と呼ばれるものが有名です。膝に痛みが出ることもあります。
同じような年頃の子どもに起こり、将来関節の変形をきたす「ペルテス病」や、バイ菌が関節に入って起こる「化膿性関節炎」も、初期には同じような症状なので注意が必要です。じっとしていても痛い場合や、関節に熱をもっている場合は、要注意です。
3つ目は、「心身症」によるストレスで起こる痛みです。
子どもの生活環境に大きな変化が生じ、心理的な要因が重なって、足の痛みとなって現れるのです。痛みのある部位には特に異常が認められません。しかし子どもさんは、「痛い痛い、歩けない」と訴えます。よく話を聞いて経過をみれば自然に治ることが多いものです。
いずれの病気も、同様の症状を起こす怖い病気の可能性を否定しなくてはなりません。保護者の方が勝手に「成長痛だからしばらくすれば治る」と判断しないことです。
成長期の子どもに関節周辺の痛みが出れば、まずはX線撮影のできる整形外科などの医療機関を受診して、骨や関節に異常がないかを調べてもらい、その後の対応方法を尋ねることが基本です。