2013年3月
【火曜】 「統合医療」って何?
体調が悪いとき、けがをしたとき、病気になったとき・・・そのようなときに、私たちの体のなかでは自ら治ろうとするスイッチがONになります。これこそが誰にも必ず備わっている「治る力」、すなわち自然治癒力です。この自然治癒力を目覚めさせ、最大限にその力を発揮させる医療が「統合医療」です。
科学進歩のおかげで発展した現代西洋医学は、人類に大きな恩恵をもたらしました。その反面、あまりにも専門化や細分化されたために、人間の体をあたかも機械の部品のように見るという弊害が出てきました。しかし、人間はもちろん機械ではありません。身体だけでなく心と精神を持っていて、一人ひとりが深みと奥行きをもつ存在です。また最近の傾向として、病気の背景には心の問題や生き方の偏りが多く見られます。人間を身体を超えた大きな存在であると丸ごととらえて、治療や健康づくりをめざすことが「統合医療」の基本的な考え方です。
このために「統合医療」では、現代西洋医学のしっかりとした土台の上に、有効性や安全性が確かな、「代替医療」や「補完伝統医療」と呼ばれるさまざまな治療法を組み合わせて、その患者さんにもっともふさわしい医療、いわゆる“オーダーメイド医療”を行います。西洋医学を十分に修めた医師と患者が力を合わせて生活全体を見直し、体、心、精神のバランスを整え、「健康を保つこと」や「治る力を高めること」に取り組むのです。
「統合医療」は、「自然治癒力」や「調和・共生」「自主・自助」などの基本理念とともに、人びとの大きな共感を得て、いま世界中で注目され広がっています。