2013年6月
【水曜】 おしりのお話-排便と痔について-
おしりにはさまざまな病気がありますが、今日は排便と痔についてお話します。
人にとって排便はとても大切なことです。毎日規則正しく排便があるためには、規則正しい生活や運動、そして食物繊維などを適当に摂ることが必要です。
便の色や形は、その時の健康状態のバロメーターにもなります。便秘や下痢はもちろん良くありませんが、黒い便や細い便は胃腸からの出血や大腸がんの可能性があり、すぐに検査が必要となります。
排便時に赤い血が出たり便や紙に血が付く時は、まれに直腸がんの時もありますが、多くは痔です。
痔には大きく分けて3つのタイプがあります。
1つ目は痔核です。一般的にはイボ痔と言われるもので、痔のなかで最も多く、男女とも患者の半分以上を占めます。強くりきむことの繰り返しや、便秘、激しい下痢、重い物を持った時などに肛門に負担がかかることが原因で起こり、大きくなると肛門から脱出するようになります。
2つ目は裂肛です。一般的には切れ痔と言われるもので、女性に多い痔です。特に20~40歳代に好発します。硬い便の排泄や勢いよく出る下痢などにより、肛門の皮膚が切れることが原因です。出血は少量ですが、排便後もしばらく続く痛みが続きます。慢性化すると潰瘍になり、肛門が狭くなってしまうことがあります。
3つ目は痔ろうです。これは男性に多く、肛門の周囲に膿瘍ができて、直腸と皮膚の間にトンネルが残ってしまう、いわゆる穴痔と言われるものです。細菌が肛門から皮膚の下に入り込むことで化膿し、その炎症が肛門周囲に広がり、膿が溜まった状態の膿瘍になります。これが自然に破れるか切開することにより膿が排泄されます。そのまま治る場合もありますが、約半数は痔ろうに進行します。原因はストレスやアルコールの摂取などによる下痢と考えられています。
痔になる前に予防することが大切です。そのコツは、毎日お風呂に入りおしりを綺麗にすること、便秘や下痢に注意すること、トイレで強くりきまないこと、腰を冷やさないこと、座りっぱなしは出来るだけ避けること、胡椒、からしなどの刺激物を控えることなどです。
最後に、おしりや便のことに少しでも気づいたことがあれば、恥ずかしがらずに出来るだけ早くかかりつけ医に相談されることをおすすめします。