2013年7月
【木曜】 おならのお話
私たちの社会生活で、おならは困ったものの一つとしてとらえられています。しかし成人では一日に400ml以上のおならを5回以上出しています。これには個人差があり、多い人では1500ml、20回程度という場合もあります。
まず、おならのもとになるガスはどこから来るのでしょう。9割程度は食事や唾を飲み込むときに口から入り、残りの1割程度は腸の中で食物などが分解されたときに発生します。従って、おならの多い少ないは腸の病気ではなく、口や鼻から飲み込む空気が多いか少ないかで決まります。
では、匂いはどのようにしてできるのでしょうか。
腸の中には、常に大腸菌やビフィズス菌など多くの細菌が存在し、食べ物のカスなどを分解、発酵、腐敗させ、それがにおいの原因になります。肉などの動物性蛋白を多く食べた時は、においがきつくなります。逆に芋、野菜など糖質と繊維質が多い食物は、腸内で発酵する時にあまり臭いは出しません。ただし、同じ野菜でも豆類、玉ねぎ、にんにくなど硫黄分の多いものは臭いがきつくなります。
腸の中には無数の大腸菌がいて、おならの匂いをきつくする悪玉菌、においを抑えてくれる善玉菌があります。臭い対策には善玉菌がたくさん入ったヨーグルト、めかぶ、ニンジンの葉、マッシュルームなども効果があるといわれています。
次に、おならと病気の関係をお話します。
便秘の時は、便と腸内ガスの接触時間が長くなり多少臭いが強くなります。腸閉塞など腸が狭くなる場合には、腹部膨満感とともにおならが少なくなり、これは危険な兆候です。また、腹痛とおならが我慢できない状態になる「過敏性腸症候群」という病気がありますが、おなら以外に便秘、下痢などの便通障害を伴うことが多くあります。胃腸の専門医で適切なアドバイスや投薬を受けることによって改善します。
おならが出ずお腹が張って苦しくても、一晩寝たら治っていることを経験した人は多いと思います。寝ている間に、おならの成分である空気は腸内でうまく分解吸収され、朝になればすっきりしているのです。
おならは嫌なものですが、深刻な病気との関連は少ないのでおおらかに考えてください。