2013年10月
【木曜】 耳鳴でお悩みの方へ
耳鳴とは、まわりで音がしていないのに、耳の中や頭の中でキーンとかジーンとかいう音が聞こえる状態を言います。すぐに消えてしまったり繰り返し鳴ったり、気になって眠れなかったり様々です。
天候や気圧が耳鳴に影響するように、精神的なストレスも影響します。からだと心の両方の要素が働くので、耳鳴の音の受けとめ方が重要です。耳鳴は難聴を伴うことが多いのですが、阪神大震災の時は不安のためでしょうか、全く難聴のない耳鳴の方が多くみられました。
では、なぜ耳鳴は起こるのでしょうか。
音の刺激がないのに、まちがって聴こえる神経のスイッチが入ってしまい、耳も脳も音が鳴っているように聞こえてしまうのです。
検査としては、耳鳴の音の高さと大きさを測る検査や、聴力検査、エックス線検査、CTやMRI検査、内耳の機能検査などをします。
それでは、どのような病気が耳鳴を起こすのでしょうか。
耳あかや耳の中に入った髪の毛などの異物、耳と鼻をつなぐ耳管や耳の周りの血管の異常、そして中耳炎や、大音量の音楽や音を聞いた後の音響外傷の場合があります。さらに、めまいが治った後のメニエール病や突発性難聴、内耳道や脳の腫瘍、脳出血、脳梗塞などが原因になります。全身的な病気では貧血、糖尿病、血圧の異常、甲状腺の病気、首肩の凝りも関係することがあります。
治療は、主に循環改善薬やビタミン剤、漢方薬、抗うつ薬や抗けいれん薬などの飲み薬が用いられます。また、耳鳴を打ち消す音や音楽を聞く治療、およびそれとカウンセリングを組み合わせた治療、きっちり耳栓をすることで楽になるという方法もあります。さらに、どうしても止まない耳鳴に対しては、鼓膜の奥に薬を注入する治療法もあります。精神的な要素を伴う場合は、自律訓練法や認知療法を用いることがあります。
大切なことは、どのような時にどのような耳鳴が起きて、毎日の生活にどのくらい影響して困っているかということを、きちんと医師に伝えることです。
耳鳴が全て病気というわけではありません。耳鳴が単なる老化現象で、生活に支障がなければそのまま様子をみてもいいのですが、重大な病気の前ぶれのこともあります。
気になる方は、一度きちんと耳鼻科で診察と検査を受けてみることが安心につながります。